生物学は多様な生命現象を、生体を構成する分子のレベル、個々の細胞や個体のレベル、生物の集団のレベルで解明しようとする学問研究分野です。生物学の研究は、ワトソンとクリックにより1953年にDNAの構造が明らかにされたことを転機に、飛躍的に進展しています。現在では、いわゆる、分子遺伝学はさまざまな生命現象の基礎となると同時に、その研究過程で開発された研究方法は生命現象の解析の有カな手段になりました。1個の受精卵が分裂を繰り返し、体の正確な場所に手足・眼・脳・内臓を形造る過程は神秘的にさえ思えるものでしたが、この発生現象も最近の遺伝子レベル、細胞レベルの研究で徐々に明らかになりつつあります。さらに、動植物の集団が形成している社会のしくみや働きも、ゲノム生物学の手法、数理モデル等の導入で研究分野が大きく拡大しています。旧来の生物学には応用科学的な側面は限られていましたが、近年の生物学はクロ一ン技術に代表される新たなバイオテクノロジーの進展、生物の多様性と地球規模の環境問題などを通して社会や産業と密接に関わるようになりました。
生物学科では、基礎生物学の研究者を養成するだけでなく、将来、高度な生物科学の知識や思考を生かせる職業に携わり、中核的、指導的な役割を担うことができる人材の養成、さらには他の学問との境界領域や学際的分野での研究、医療、公衆衛生、食料生産、エネルギー資源開発、生物多様性の保全、環境修復などの応用分野で活躍できる人材の養成も目指しています。
生物学科は生物学の幅広い領域をカバーする14の研究室を擁し、学問分野の急速な進展に対応できる教育・研究システムを確立させています。各研究室の主な教育・研究内容は次の通りです。
入学後3年間は生物学科を基本とした学級に所属し、それぞれの関心、興味に応じた科目選択を取り入れた教育指導を受けます。最初の1年で人文・社会・自然科学・外国語等の基礎科目を学びます。
各学年にはそれぞれ学年担当の教員が配置され、学生の質問や相談に応じる体制となっています。最終学年(第4年次)では、各学生は、生物学科内のいずれかの研究室に配属となり、一年間を通してその研究室の一員としてマンツーマンの指導を受け、卒業研究や演習を行います。
基幹教育科目及び専攻教育科目から、それぞれ決められた単位数を修得することが必要です。このうち、最終学年で研究室配属後に履修する特別研究(卒業研究)と生物学演習が必修科目です。成績評価は科目によっていろいろですが、出席状況や最終試験、レポート、研究態度、研究成果等によって行われます。
分子、細胞、個体、集団等のいろいろなレベルでの生命現象の仕組みを問題意識として明確にもつことができ、生物の勉学、研究に熱意をもつ創造性豊かな学生。特に自立した研究者をめざす意欲のあることを重視しています。本学科志望者には、高校において理系科目(数学、理科〔生物のほか、化学、物理〕)を学び、論理的思考力を身につけるようにすること、および自然科学の基礎知識を習得しておくことはもちろんのこと、文系科目(国語、英語、社会)も幅広く履修し、筋道の立った文章が書けることなどが望まれます。「アドミッション・オフィス入試」、「帰国子女・私費外国人留学生入試(4月入学)」においては、生物学科に関係する各種コンテストなどで活躍した実績も評価します。
生物学科ではいろいろなレベルでの生命現象の仕組みを問題意識として明確にもつことができる意欲ある入学者を選抜します。そのため、一般入試(前期、後期)のほかに、アドミッション・オフィス入試も行い、通常の試験とは違った基準で、面接などにより生命現象に深い関心を持ち、研究に熱意・意欲を持つユニークな学生を受け入れます。