発芽率や品種の純度といった種子の品質は、外観の特徴からは判別できない場合が多く、種苗生産では、適格率が基準に満たないために廃棄される種子の発生、いわば「シードロス」が問題となっています。作物生産用の種子は、多段階の選別を経て調製されていますが、それでもなお残る不適格な種子は、内部の構造や成分に原因があるものと予想されます。
九州大学 大学院理学研究院の松田 助教は、トキタ種苗株式会社との共同研究において、化学成分の「指紋情報」ともいわれる近赤外光の反射スペクトルを AI モデルに学習させることにより、多様な作物種子の適格率を「あと 1 %」の精密さで改善できる、新たな選別技術を開発しました。また、シンフォニアテクノロジー株式会社とともに、この技術を組み込んだ選別装置の製作も進めており、その実用化を通じて、「シードロス」の解消を含む、持続可能な食糧生産に貢献できることが期待されます。
本研究の成果は、2023 年 9 月 20 日 (水) 午後 2 時 (米国東部時間) に、米国オンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載されました (https://doi.org/10.1371/journal.pone.0291105)。
※ 本件についての詳細およびお問い合わせ先は以下をご覧ください。