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安藤 雄太さんらの研究グループが、2010 年以降の猛暑頻発・冷夏不発生は、気候のレジームシフトが一因であることを解明しました。

  • 2023年10月2日(月)

    ポイント

    • 近年の猛暑頻発・冷夏不発生は、南北傾斜高気圧の発生と偏西風の蛇行によるものであることを、過去 65 年間の観測値の統計解析により解明
    • 地球温暖化に伴うユーラシア大陸北東部の高温化が南北傾斜高気圧を強める
    • 温暖化に伴い 2010 年に北半球規模での気候変化 (気候のレジームシフト) が起こったことを発見
    • 偏西風蛇行と南北傾斜高気圧は、このレジームシフトと連動して強まった

    概要・研究の意義

     過去 65 年間にわたる観測値の統計解析から、2010 年以降の南北に傾斜した構造を持つ高気圧 (南北傾斜高気圧) の発生および、偏西風蛇行が、北日本の猛暑頻発・冷夏不発生の一因であることを解明しました。偏西風の蛇行、南北傾斜高気圧の発生は、地球温暖化に伴うユーラシア大陸北東部の高温化や、本研究によって初めて発見された北半球規模での気候のレジームシフトと関係があります。このレジームシフトによって、北日本では毎年のように猛暑が引き起こされており、今後災害級の冷夏は発生しない可能性が高いです。この研究は、日本をはじめ、北半球の各地域における異常気象のさらなる解明と予測において新たな鍵となるとともに、地球温暖化の予測、緩和、適応などにも役立つことが期待できます。

     本研究成果は、三重大学 大学院生物資源学研究科の天野 未空 博士前期課程学生、立花 義裕 教授、九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門の安藤 雄太 学術研究員によるもので、2023 年 8 月 31 日 (木) (日本時間) に「Journal of Climate」に掲載されました (https://doi.org/10.1175/JCLI-D-23-0191.1)。

     また、本研究は、新学術領域研究を始めとした複数の文部科学省科学研究費補助金 (16K13880、 17H01156、17H02958、17K01223、19H05695、19H05668、19H05698、19H05703、20H04306、 20K12197) と、北極域研究推進プロジェクト (ArCS; JPMXD1300000000)、北極域研究加速プロジェクト(ArCSⅡ; JPMXD1420318865) で実施されたものです。

    ※ 本件についての詳細およびお問い合わせ先は以下をご覧ください。

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