国立研究開発法人 海洋研究開発機構 (理事長 大和 裕幸、以下「JAMSTEC」という。) 付加価値情報創生部門アプリケーションラボの山崎 哲 研究員と九州大学 大学院理学研究院の野口 峻佑 助教は、2018 年の 12 月と 2019 年の 9 月に、北半球と南半球で 1 回ずつ発生した成層圏突然昇温現象の数日前に、先駆的に大気状態の不確実さを示す「揺らぎ」が発生することを発見しました。アンサンブル大気再解析データを用いることで、この「揺らぎ」をスプレッドと呼ばれる統計量で検出できることがわかりました。成層圏突然昇温は予測が難しいとされる現象の一つで、そのメカニズムや予測可能性の解明に注目が集まっています。成層圏突然昇温の発生直前に現れる「揺らぎ」の検出は、従来の研究と異なる新しい知見や手がかりを与える可能性があります。本研究は、過去の大気状態を長期にわたって復元したアンサンブル大気再解析データを JAMSTEC で作成を続けてきたことで、現実に起こった成層圏突然昇温前の「揺らぎ」の検出に成功しました。
本成果は、米国気象学会誌の「Monthly Weather Review」に 10 月 17 日付け (日本時間) で掲載されました (https://doi.org/10.1175/MWR-D-22-0169.1)。なお、本研究は、JSPS科研費 (20H01976, 18K13617, 19H05702)、および ArCS II の助成を受けたものです。
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