概略 3-1: 噴火のあらまし

第3部目次
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 1990年11月17日198年ぶりに噴火を開始した 雲仙火山の主峰普賢岳の 一連の活動は, 1年間にわたる前駆的な 地震活動 を経て 水蒸気爆発 となりました. 続いて半年間の 噴煙活動 の後, 3年9ヶ月に及ぶ 溶岩噴出 へと発展し, ひとつの巨大な 溶岩ドーム形成しました.
 この溶岩ドームは 普賢岳山頂部東端から 東斜面にかけて成長したため きわめて不安定で, その間,局部的に崩落し 火砕流 を頻発させました. 火砕流の発生は数千回にも および,焼失した家屋は 820棟,44人の尊い 命を奪いました.
 1995年2月には溶岩噴出を 停止しましたが, この間の総噴出量は 約2億立方メートル(国土地理院)で, その約半分が崩落しています.
 なお,降り積もった火山灰は, 雨が降ると土石流となり, 約1,300棟が 損壊しました.
 1990‐1995年の噴火活動は 下に示すように,大略,4つの 活動区分 に分けることができます.

  雲仙普賢岳噴火被災地図
 

トップ 1990−1995年 噴火活動区分

 
前駆地震活動期 (1989.11. 〜 1990.11/16)
橘湾(千々石カルデラ)で地震群発開始(1989.11)
山頂へ震源域拡大・微動発生(1990.7)
噴煙活動期 (1990.11/17 〜 1991.5/19)
1) 九十九島・地獄跡火口活動期(1990.11/17〜1991.2/11)
両火口より噴火開始(11/17):水蒸気爆発
2) 屏風岩火口活動期(1991.2/12〜1991.3/28)
屏風岩新火口噴火開始(2/12):水蒸気爆発
3) 3火口同時活動期(1991.3/29〜1991.5/11)
マグマ水蒸気爆発
4) 地殻激変期(1991.5/12〜1991.5/19)
山体膨張・熱消磁・火口直下地震激増・地割れ発生
溶岩ドーム形成期 (1991.5/20 〜 1995.3)
1) 第1期(1991.5/20〜1992.12): 主にローブ形成
溶岩噴出開始(5/20) 火砕流発生開始(5/24)
大火砕流(6/3,6/8,9/15: 安中地区へ流下)
溶岩噴出激減(1992末)
2) 第2期(1993.1〜1993.10): 主にローブ形成
溶岩噴出再開(2/2) 大火砕流(6/23〜24:千本木地区へ流下)
大火砕流(6/26,7/19: 安中地区へ流下)
3) 第3期(1993.11〜1995.2): 主に破砕溶岩丘形成
中小火砕流南北両側へ拡大(1994.1〜9)
溶岩噴出停止(1995.2)
後続変動期 (1995.3 〜 1998.6現在)
溶岩ドーム・火道冷却収縮・自重沈下進行中


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