前兆 3-4: 噴火 (水蒸気爆発) の前兆現象 (その3)


  前駆地震活動期の後半にみられた地震波の減衰
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 ある震源から発生した 地震波は,地中を四方に広がって 伝播しますが, その途中に地震波を 通しにくい地域があると, 地震波が弱くなり, 地震波の減衰起ります.
 普賢岳の噴火が始まる前の 前駆地震活動期 (1989.11〜1990.11) の後半に, 普賢岳直下から西側にかけての 区域の地下を通過する地震波が 減衰し,地震の波を 通しにくい液状のマグマが 上がって来ていることを 示唆していました.
 下の左右の図は,異なる震源(
から伝播した地震波を, 千々石観測点()と 諏訪ノ池観測点(で観測した地震波の波形を 示しています. 左図の場合,観測点に達した 地震波は普賢岳西側の 地下を通り, 一方,右図では観測点に達した 地震波が普賢岳直下を通っています. これら普賢岳直下,又は西側を を通過した地震波には 明らかな減衰が見られます. つまり,この時期 普賢岳直下,又は西側には 地震波を通しにくい 液状のマグマがあることを 示唆しています.

 


  噴火開始前後の震源の移動(M≧3)
   噴火に先立ち, 震源は橘湾地下深部から 普賢岳に向かって, 波状的に斜めに上昇し, 予想していたマグマの 上昇通路(火道) を移動しました. この点は,上記の 地震波の減衰とも 符合しています.

 

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