火山 5-4: 火山はどうしてできる?

第5部目次
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 マントルから発生した マグマが 直接地表に出てくることは 稀で,多くの場合 途中の マグマ溜り組成を変化させた後, その一部が火山の噴火として 地表に現れます.

  溶岩の種類
   溶岩 は大別すると次の3種類に分けられます.
 
玄武岩溶岩 マントルが溶けて できたマグマが 殆どそのまま地表または 海底に噴出したもの.
海嶺 ホットスポットの火山.
デイサイト溶岩 酸化珪素 (SiO2) の 含有量が多い.
ゆっくり冷えると 花崗岩 になる.
弧状列島大陸地殻 を作る.
安山岩溶岩 多くは,玄武岩マグマとデイサイトマグマの混合.
酸化珪素 (SiO2) の 含有量が多い.
弧状列島大陸地殻 を作る.


  長年の熱い論争
   弧状列島 から 噴出する溶岩は,安山岩デイサイトと呼ばれる, 酸化珪素(SiO2)が多い(55〜65%) マグマです.どうしてこのようなマグマが できるのか,70年にわたる 熱い論争」が続き, 今なお未解決です. ここでは,観測結果とも 割合整合性の良い 九州大学説を中心に説明しましょう.


  マグマ溜りの仕組みと働き
   桜島火山 の場合を 例にとって説明しましょう.
 火山の下部の構造は,上下2つの マグマ溜り と,その間に 位置するプラグ(栓,詰め物) から構成されています(下図参照). 上位マグマ溜り は地殻の中, 下位マグマ溜り地殻とマントルの境界面あたりに あります.
 プラグ は上位マグマ溜りで マグマの結晶作用が進み,重い結晶が 上位マグマ溜りの底に 沈殿してできたものです. 残ったマグマは割合軽い デイサイトマグマ となります.
 マントルの上昇により, 下位マグマ溜りに深部から 玄武岩マグマ供給されると(図1), プラグは重いため 下位マグマ溜りに沈み始めます(図2). その時生じた隙間を通って 下位マグマ溜りの玄武岩マグマが 上位マグマ溜りへ移動し, 既存のマグマと混合して安山岩マグマ となります.この動きは プラグが下位マグマ溜りの 底に着くまで続き, その間,火山は 大噴火数回繰り返し,上位マグマ溜りの 溶岩を噴出します. 従って,この時噴出される 溶岩は,デイサイト溶岩か又は 安山岩溶岩です.
 プラグが底に着くと,プラグの下部は マントルの流れによって, 削られ,運び去られます. 一方,上位マグマ溜りでは マグマの結晶作用が進み, 重い結晶がプラグに沈着します.
 そして再び 下位マグマ溜りに深部から 玄武岩マグマ が供給されて, 上のプロセスが繰り返されます. 桜島火山 の場合, 下の(図2)の状態が約600年間 継続しているようです.

 

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